偽物に気を付けて!!
蓮、睡蓮を購入するうえで、絶対に気を付けて頂きたいことがあります。
メダカにも同じことが非常に多いので要注意です!!
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが…
○○という品種や原種などは『本性=本物、実生=偽物』と解釈して頂いて構いません。
本 性 (クローン) |
実 生 ( 子孫 ) |
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蓮 | 蓮根(根茎) | 種 |
睡蓮 | 球根 ムカゴ |
種 |
本性とは
『栄養繁殖から増やした株』ということで『完全に同じ遺伝子を持ったクローン』です。
蓮の場合は蓮根、睡蓮は球根、ジャガイモやサツマイモなどはイモ(ムカゴ)、チューリップやニンニクなどは球根、イチゴはランナー(匍匐)などが一般的な栄養繁殖です。
他の植物にも言えますが、特に蓮・睡蓮は交雑しやすいため、本性のみが“本物”です。
実生とは
『種子(胚・胞子)を用いて増やした株』のことです。
親の遺伝子は引き継ぐものの、親とは異ります。
これは同じ品種間やクローン(株分した株)同士で交配した場合でも、祖先の遺伝子情報が持ち出されるため、まったく別の品種になります。
『白光蓮』は(株)名古屋園芸の作出です。
『“金輪蓮”ד白君子青蓮”の交配』と、交配親がはっきりとわかっています。
では、同じ交配親である『金輪蓮×白君子青蓮』を交配すれば『白光蓮』になるか?と言えば、なりません。
2つと同じ物は出来ない
「なぜ同じにならないのか?」と聞かれることもありますが…
「あなたの兄弟姉妹はあなたとまったく同じですか?」
同じ親から生まれても、父母の遺伝子の割合、祖父母の隔世遺伝などから、見た目だけでなく体質も大きく変わります。これとまったく同じです。
1つの品種が出来るまで
蓮、睡蓮は1つの花托(1つの花)にたくさんの種をつけます。
その1粒1粒で草丈、花の大きさ、花上り、丈夫さ、花弁の枚数、花弁の筋の入り具合、花弁の反り、花弁の大きさ…全て異なります。
1年かけ人工的に受粉させ数十個の種を収穫し、翌年に発芽させ、それを2〜3年かけ育成し、成長具合(丈夫さ)、草丈、花上り、花の大きさ、花の美しさ(花色・花弁枚数、退色具合など)を評価し…
これらを何年も行い、数千個の種からようやく「これなら自信を持って出せる」というものに名称を付けます。それが蓮愛好家に評価され、初めて「これが○○」と認められます。
メダカの場合
基本的に有名専門店で販売されている品種は、同品種間の子供は同じ品種になります。これは『固定率』を上げる作業をしてます。(同品種間の交配で同品種が生まれる割合)
メダカは色、体型、ヒレ形などは突然変異から作るため、二代目に遺伝する確率は数%です。
同じ特徴の個体を何代にも渡り掛け合わせ続け、85〜95%くらいの固定率になり初めて新種として名が付けられ世に送り出されます。
詳細は別ページの『蓮と睡蓮の違い』に記載しております。
蓮という植物はハス科以降、下記の2種を除き仲間が全くいない孤立した植物になっています。
(化石種は発見されています)
Nelumbo lutea | → | 黄 |
Nelumbo nucifera | → | 紅、白、爪紅 |
この2種は「形態」「染色体の数」「繁殖方法」が同じであることから、交配させることが可能で、これにより様々な品種が作り出されてきました。
逆に「lutea」「nucifera」「2種交雑」の3種しかないとも言えます。
一般的に言う睡蓮や蓮の『品種』とは、「人という種『ヒト属−ヒト種(ホモ・サピエンス)』の内の、1人の人間の“個性”のようなもの』に近いかもしれません。
この先、細かくアジア系の『Nelumbo nucifera』が細分化される可能性もありますが…
アジア圏では古くから食用として栽培されているため、農業・園芸品種の野外流出により、交雑も激しく難しいのかもしれません。
近年ネットショッピングやフリマサイトで簡単に売買が行えるようになったこともあり、『実生株』という表記がなく本物のように堂々と販売されています。
栄養繁殖よりも種(実生)の方が多く取れるため、多く生産できます。小さいため小型容器に植え付けやすく『植付け済み』という目を引きやすくする利点もあります。
実生は本性よりも、奇麗な花になる可能性が十分にあります。
それを知らなければ?
気が付いた時には、本物の方がチープに見え、偽物が本物に変わります。
植物園ですら「○○」と明記されているものの、どう見ても違う種ということもあります。
知らなかったはマズい!
「実生と知らず購入し、増えたからフリマ・オークションサイトで販売する」というのは、その品種の価値を貶めることにつながります。
2000年前の蓮と言われる大賀蓮、行田蓮など歴史的な価値のある品種。古くから代々「この品種を後世に残したい」と守り続けられてきた思い。何年も手間をかけ「奇麗な品種を…」と作出した作出者の思い。
これらがあっという間に消えていきます。
購入、再販売は要注意です。(種苗法登録種(特許)に抵触する品種もあります)
当社では
このようなことを書いておきながら『実生』を売ることは決して行いません。
『本性』と記載忘れはあるかもしれません。
例外として、『即非蓮』などのように古くから交雑や実生が多く、純系が不明な品種もあります。即非蓮は江戸期に伝わった品種ですが、当時から実生が出回ってしまったとか…
戦時中に失われてしまったり、ごちゃ混ぜになってしまった品種もあるため、花蓮生産者や保護団体、蓮愛好家団体ですら“○○蓮の本性が何かわからない”という種もあります。
『ハウスネーム』というのは、生産者、繁殖者の間で用いられている店舗内での名称です。
ハウスネームは勝手に付けることが出来ます。
メダカの有名なハウスネーム
メダカの楊貴妃系統では、楊5、楊30、浜楊31などは元々ハウスネームです。
『楊貴妃』という“品種”を「さらに赤く」と目指した方が、「掛け合わせた(固定化していく)系統」「維持していく系統」などに番号を付けたのが始まりだそうで…
これが愛好家の方達の間で「楊貴妃より赤い楊貴妃」と話題となり、楊貴妃から独立した“品種”として確立しました。(独立というのか微妙ですが…)
ハウスネームを付ける
本来は、新品種を作り出す際につける、系統番号、認識番号などで『A×B−01』『A×B−02』…などのようにつけていきます。
その中から個性的で綺麗な品種に品種名を名付け発表することになります。
偽物のハウスネーム
睡蓮専門店(大衆向け生産店は除く)と、世間で出回っている睡蓮とは、同じ名前でもまったく異なる品種の場合があります。
特に有名な品種では…
本物 → 『ピーチ&クリーム』(P.スローカム氏 1993年)
偽物 → 『ピーチ・クリーム』『ピーチ・アンド・クリーム』
偽物はタイで生産された物が出回っっているケースがほとんどです。タイ国内では『ピーチ&クリーム』『ピーチ・クリーム』で販売されていますが、日本国内になると「本物の名は使えない」とわかっているからでしょうか…あえて『&』をいじっている具合が嫌らしい。
性質はまったく異なり、偽物は育てやすく、花色は薄いのが特徴です。
本物はUSPP(植物特許)登録品種であり、販売するには権利者の許可と特許料を支払う必要があります。無許可販売はフリマ・オークションでも、もちろん訴訟の対象になります。
熱帯種はけっこうな数の偽物があり「花色が薄い」「ムカゴが出来る(本物は作らない)」「葉の特徴が違う」など本物と大きく違います。
タイは蓮・睡蓮の作出者が多く、とても魅力的な品種も多く出るのですが…
偽物の生産量もすごい!!(小さい個人店ですら日本の田んぼ2〜5枚分以上で生産)
『ハウスネームの闇』
メダカだけでなく観賞魚系は多いのですが、昨今のメダカブームに便乗し「ハウスネームは自由に付けられる」ことを利用した、紛い物、偽物がやたらと出回っております。
メダカは広島の老舗さん(の組合)が「認定しないと“品種”として認めない」という感じですが、未加入有名作出者の方の品種も“品種”としてメダカ生産者の間で名前が通っています。
組合未加入の生産者の品種を、丸々と盗み組合に新種申請していることもあります。
《同名異種》
親が判明している『○○』を丸々と盗み、同じ親から生まれたF1(第一世代)や卵を販売
→ 似たものになる可能性はあるが確率は低い。
固定率も悪く一世代で終わる。
《異名同種》
既にある『○○』をあたかも新種のように「〇△」「△〇」と匂わせた名で販売
・上記の《同名異種》に別名のパターン
・『○○』を購入し繁殖させ別名を付けるパターン
当社のハウスネーム
当社にもハウスネームの商品があります。詳しくは一番下へ
インボイスとは海外からの輸入品のに添付する必要のある、その品種の名称、原産国、重量、個数、単価、合計値などを記載した書類の事です。
『インボイス=ハウスネーム』(観賞魚)
観賞魚業界ではハウスネームとほぼ同じです。
海外のファームでは「○○」と記載されていたから…
明らかに違う品種でも、そのまま「○○」で卸売り、小売り…となることが多くあります。
特に多いのが「アヌビアス」「エキノドルス(オモダカ)」「ニムファ(睡蓮)」「ブセファランドラ」です。
観賞魚 ≠ 園芸(大衆向け) ≠ 愛好家(正統派)
・観賞魚用
同名異種、異名同種が多い(上記の『インボイス』の通り)
同種でも(色、柄、形)で名を分ける
・園芸
同名誤品種が多い
似てれば気にしない?気が付いてない?
・専門店
本性以外は認めない
の差があります。
『インボイス=輸出の名前』
輸出の際に『学名』を記載する必要がありますが…
・『種』として未登録(研究中など)
・園芸種であり学名がない
・交雑種であり品種名もない
など、学名が不明な種はたくさんあります。
こうなると輸出時に困るため…
1.「種としてはこれに近いよね?」という感じで「タイガー・ロータス」など
『N.Lotus』の一括り
2.「睡蓮だけど、なんだかわからない」交雑種、園芸品種など
『Nymphaea sp.(スイレン属の何か)』『Nymphaea sp.○○産』など
当社でも『ハウスネーム』の商品があります。
右写真ハウスネーム『プンダリーカ』
海外に発注すると…
「睡蓮Aを発注したものの、睡蓮Bが納品された」
というのはよくある話です。
数が合わない、価格表で単価が合わず大損などもよくある話です。
さらに酷いと…
「睡蓮Aを発注したものの、睡蓮Aの名前で“蓮”が納品された」
ということもあります。
詳細を聞こうにも「(品種名、生産者、仕入元など全て)知らない」で終わりです。
本当に何もわからない…
ハウスネームがないと、生産、株分、販売、梱包で非常に困ります。
一度咲かせてみて「綺麗+まったく見たことがない品種」に限り、ハウスネームを付けます。
詳細が分かり次第、『正式名称○○ 旧ハウスネーム××』と掲載します。
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