オリジナル育成法の理由
〜 土づくりとは? 〜
荒木田土〇割、腐葉土〇割、黒土〇割、ケト土〇割ふるいにかけ混ぜ合わせる。
(サイトにより)有機肥料や苦土も入れしっかり混ぜ合わせる。
水を足しながらホットケーキほどの固さにまで捏ねる。
これは完全に『間違えた土づくり」です。ただの「土の配合」と「練り」です。
個人ブログ中心にこの『間違えた土づくり』が載っていたのですが…
意外にも、植物育成のサイトでも複数載っていたため、びっくりしました。
「蓮 土(つくり・作り)」で検索し流し見た感じでは、『間違えた土づくり』の方が多く…
『間違った土づくり』が広まっていることが、セオリーを無視させる最大の理由です。
正しい土づくりは…
0. | 土の消毒 使用済みの土の場合 土の掘り起こし。日光消毒。 |
1. | pH中和 消石灰や苦土をしっかりと混ぜ合わせる。pH中和(消毒も兼ねる) |
2. | 寝かせ 3ヶ月以上 消石灰・苦土の中和。適度に撹拌し、適度に水分も加える。 |
3. | すき込み 腐葉土、有機肥料などを入れかきしっかり混ぜ合わせる |
4. | 寝かせ 3ヶ月以上 適度に撹拌し、適度に水分も加える。しっかり発酵するよう温度を確保。 |
5. | 水入れ 先に土を水に漬けて置き、雑菌・害虫駆除とガス抜きも兼ねて行う。 |
6. | 練り 植付け直前の状態 |
(人、作物により順番、行程、期間などは異なる)
これらすべてを含め『土づくり』と言います。育成する作物や人により行程が異なります。
期間は半年〜1年程度です。
新品の土でも3〜6番は必須になる行程で最低3ヶ月は必要になります。
<最重要は寝かせ(熟成)!!>
「面倒だから…」と寝かせ(熟成)を省略すると…
化学反応でガスが発生し窒素が流出し意味がなくなります。
ガスで蓮根がやられ、酸欠でさらにやられます。
「1、3、6」「3、6」を一気に行う『間違えた土づくり』は非常に危険です。
「上手くいかない」と相談される方は、「寝かせ」が抜けていることが多い気がします。
<土が作れない>
正しい土づくりは、都市部や住宅地の一般の家庭では難しいです。
「場所」「土」「時間」「体力」が最低でも必要で…
使用する物によっては「汚れ」「臭い」「虫」などの問題もあります。
これだから、諦めてしまうわけです。
「でも、やりたい!」
と言う人の相談が多かったため、ず〜っと考えた結果の理論です。
その集大成が『ベランダで蓮』
ビオトープ、蓮、睡蓮共通して
「『田土』が良い」と言われています。
当然、米農家さんでない限り手に入るものではありません。
そもそも『田土』の…
どの種類を指すのか?
何が良いか?
(どこにも書いていない…)
〜稲作水田の種類〜
1.最高の水田(魚沼や棚田など)
砂礫が多く、排水性が高い 水を張っても溶存酸素量が豊富
2.一般的な水田
粘土分が少なく適度に砂礫を含んだ田んぼ
3.死んだ土の水田 (粘土質)
排水が出来ず停水状態の土壌。何をしても発育、味が悪い。放棄、宅地開発されがち。
酸欠でヘドロ化(グライ土、黒泥土、泥炭土)
ざっくり分けて、3つに分類できます。(細かく分けると長いため割愛)
『田土=粘土質』は大きな間違えで、意外と粘土分が少ないです。
下手すると…
「水生植物=稲と一緒」「蓮の田んぼ(蓮田)」という安易な考えかもしれません。
一般土中(陸上)で腐葉土を使用する理由は…
1.空気を取り込みやすくする
2.腐食を供給する
3.ミミズのエサ
これにより土を活性化・復活させるのが目的です。
では蓮の場合は?
1.空気を…止水状態の水中で?
2.腐植はわかる
3.ミミズは…生きられるの?(雨の中よく溺れて死んでます)
水中ではイトミミズ、ミズミミズはいるが種類が違う
おそらく「腐植の供給」と「荒木田のみでは固すぎて捏ねにくいから」という理由が主です。
〜使わない理由〜
1.腐敗のもと
管理が難しく状態が悪いと、雑菌や害虫が大量にわく。
「陸上で良い微生物が水中でも良い菌か?」というと難しいところ…(割愛)
2.酸性化しすぎる
腐葉土を入れたことで酸性に傾きすぎ、蓮がやられる
酸性化しすぎると、アルミニウム障害(リンの固着吸収)、微量要素吸収障害の原因
リン:通称「花肥え・実肥え」 = 花が咲きにくくなる
3.酸欠を起こす
微生物が腐葉土を分解する際、大量の酸素を消費する
結果、酸欠になり微生物もろとも蓮まで…ということも
藻類、アオコ、嫌気細菌は酸欠状態を好む
4.有毒成分の発生
微生物が腐葉土を分解する過程で有毒成分が出る(アンモニア、亜硝酸塩、硫化水素など)
硫黄臭い(腐った卵臭)=硫化水素
硫化水素は蓮、魚だけでなく人間にも猛毒(水槽で死亡事例あり)
自然の沼などであれば、風で酸素が供給され、水量も土量も豊富で、分解する微生物も活発に働き、無害化、有毒成分の気化(希釈)も進み、他の水草が吸収し…となります。
人為的に腐葉土を入れられるほど、小さな水域(容器)ではキャパがありません。
どうしても使いたい場合…
熟成腐葉土を使用し最低3ヶ月以上、未熟成腐葉土は半年以上の熟成が必要になります。
定期的に撹拌し、水分を適量与える必要もあります。(乾燥してしまうと熟成が進まない)
日本の園芸でいう黒土は…
「植物(枯葉・木屑など)と関東ローム層表土(火山灰)を混ぜた土」のこと。
ほぼ、腐葉土を混ぜた土と同じです。
ケト土は「水生植物が水底で長い年月を掛け粘土状になった土」のこと。
「腐食が進む → 炭化した状態」のため黒い。
田んぼの天地返しで出てくる土で、栄養分が非常に豊富で、非常に優れた土です。
(田んぼで5年以上掛かるとか…)
栄養分が豊富と言うのは…
1.管理が難しい
雑菌、害虫がわきやすい
2.植付け時に向いていない
根が発育しておらず吸収できない。藻、雑菌のエサ。
使用しても良いですが…
「適切な管理が出来る」「適切な配合ができる」超上級者向けです。
・苦土石灰
酸性に傾き過ぎた土の中和、殺菌などに使用
土を寝かせる必要がある。すぐ使うと枯れる。
・消石灰
苦土石灰と同じ
・堆肥類
窒素欠乏、生育障害、発芽抑制などの原因になる
・硬質赤玉土
根に傷が入りやすい 植付け時は腐敗の原因!!
これまで、セオリーで配合される土の種類を掲載しました。
もう、おわかり頂けたと思います。
荒木田土は養分を含まず、保水力が高く、保肥力も高い土です。
密着性が高いため、泥が締まることによる利点があります。
1.蓮根を抑える
強風で倒れにくくなる。
2.害虫対策(蓮田・シート池)
砂礫と違い隙間から線虫が入りにくい(深植えはさらに効果的!)
3.冬の冷害に強い
容器側面がやられても、中心部は無事なことが多い(凍結地域は危険)
デメリットとして
1.重い
そのままの意味で重量があります。水を含むとさらに重い!!
2.水分調節が難しい
水が少ないと、中粘土用撹拌機が焼付きます!
逆に多いと、ゆるゆるで植付けがしにくい…
3.乾燥し固まると
水を掛けても崩れません。
ハンマーで叩く、水に漬けひたすら手で崩す…
4.日光消毒と雨風
風が一番問題で、粘土は粒子が細かいため舞う!(洗濯物、ご近所から…)
5.泥汚れが…
粒子の細かさからコンクリの間に潜ります(忘れた頃に消えます)。
アパートやマンションでは絶対使えません。
有機肥料は微生物に分解され、初めて効果が出ます。
植付け時の基肥(元肥)、追肥に使用すると…
1.腐敗のもと
雑菌がわき腐敗する
管理状態が悪いと、雑菌害虫の巣窟に…
2.酸欠を起こす
微生物が有機肥料を分解する際、大量の酸素を消費する
結果、酸欠になり微生物もろとも蓮まで…ということも
藻類、アオコ、嫌気細菌は酸欠状態を好む
3.有毒成分の発生
微生物が腐葉土を分解する過程で有毒成分が出る(アンモニア、亜硝酸塩、硫化水素など)
硫黄臭い(腐った卵臭)=硫化水素
硫化水素は蓮、魚だけでなく人間にも猛毒(水槽で死亡事例あり)
4.動物による食害 ネコ、カラス、ハチ(特にスズメバチ)
雑菌を持ち込まれやすくなる。ハチは刺されると危険!!
と言った害が発生します。
「正しい土づくり」を行う場合に限り、使用できる肥料です。
水槽をやっている人は、有機肥料を絶対に用いません。
水槽に油粕やらを入れると、水槽が死の水溜になります。
「化成肥料はメダカ、エビがいると使えない」と言われていますが、逆です。
有機肥料の分解される際の、酸欠も有毒成分も発生しません。
1.管理がしやすい
酸化、腐敗しにくい
2.酸欠、有毒成分の発生はない
3.配合分、施肥量分は作用する
酸化によるリン吸着固定などは除く
微生物の分解で出るガスからの流出は考えなくて良い
4.すぐ施肥できる
微生物の分解にかかる時間は考えなくて良い
と言うのが利点です。
しかし、「化成肥料は土が痩せる」と言うのは確かなことで、長年使用を続けると何かを育てるには向かない土になってしまいます。。
「一般化成(肥料)」のみを用いると…
1.必須微量要素が含まれない
基本が三要素のみ(N・P・K)で不健康になる
2.腐植が含まれない
不健康になる (腐植入りを使えば良い)
3.微生物が減る
T.微生物のエサ(有機物)が少ない
U.肥料の窒素により菌根菌が死ぬ
V.消毒成分で直接殺菌される(一部の肥料)
蓮はこれらが影響します。
3に関しては、完全に微生物がいなくなるわけではありません。蓮の古い葉・茎・根や、魚やエビのフン、残餌は微生物のエサとなり、微量要素も含まれています。(さすがに足りません)
一般土中では連動するマイナス要素が多々あり(単純にまとめられる話ではないので省略します)。
化成肥料を与え続けた場合、必須微量要素が減り不健康になります。
足りないミネラル分は、ミネラル剤を添加することで、植物が健康的に育つようになります。
フルボ酸を与えると、リン吸着固定により吸収できなくなった、リンを分離し吸収できる状態にしてくれます。
水槽では水草やビーシュリンプなどの健康管理、色揚げ、繁殖促進などに使われます。
バクテリア剤を添加する理由は
1.土、水のキャパを埋める
有益な微生物で飽和状態にし、雑菌が繁殖できない状態にする
2.有機物の分解を促す
蓮の古い葉・茎・根やの分解
魚やエビのフン、残餌の分解
これらが目的です。
蓮は、色々な虫に食べられます。
ヨトウムシや毛虫などは箸などで摘まんで捨てれば良いだけです。
アブラムシが一番身近なうえに、厄介な虫で…
葉や茎から養分を吸い取り、そのまま放置していると爆発的に増殖し、最悪1株丸々枯れることも…
予防しよう!!
最大の予防方法は風通し!一番簡単で確実です。
害虫を捕食するテントウ虫、カマキリなどがいればさらに良いですが…
早期発見!早期駆除!
被害が出る前に見つけ次第すぐ駆除!
アブラムシは放っておくと爆発的に増え被害が広がる!手で潰しても良い!
時間がたつと被害が拡大する!!
「 農薬は使いたくない」からとネットで検索すると…
「牛乳を薄めて」「食器用洗剤を薄めて」「酢を薄めて」…
などと代用出来る物が載っていますが…これらは使ってはダメ!!
「葉焼け」「葉が呼吸できず枯れる」「腐敗の原因」「別の雑菌害虫を呼ぶ」
などの原因になります。
各メーカーから天然成分由来の商品が販売されています。
これらを使用して下さい。
「ボウフラ対策に銅板」が有名ですが、植物、魚、エビに有害です。
天然成分由来の農薬で駆除しきれない状態まで進んでしまうと、化学農薬が必要です。
そこまで進んでしまうと、近所にも感染が広がるため自分だけの問題では済みません。
近くに無農薬、低農薬農家さんがある場合、迷わず使って下さい。
趣味の蓮と生活がかかった仕事(農業)では、天秤にかけるまでもありません。
アブラムシの農薬は一般的に『オルトラン』を使用します。
説明書をよく読み正しく使用する分には危険はありません。
使用量をネット調べる際は、必ず製造元ホームページを参考。次に蓮生産者。
個人ブログなどは参考にしてはいけません!!
高濃度は危険です。
魚やエビは別の容器に移動する必要があります。
アブラムシがハス条斑病ウイルスの媒介をするとされています。
感染すると、蓮全体に回り、蓮根の表皮下に筋(断面は穴と皮の間に黒い斑)が入ります。
販売もできず、種蓮根にもならないためすべて廃棄処分となります。
金銭的にもかなりの深刻な問題です。
アブラムシは羽がつき飛んで拡散します。
地域、その年の気温などで異なりますが、飛翔拡散は5〜6月がピークで蓮根農家はほぼ同時期に一気に農薬散布を行います。
この時期に合わせ農薬を使用して下さい。
薬効が出るまで1〜2週間はかかるため早めに施薬する必要があります。
〒273-0003
千葉県船橋市宮本7-7-1
TEL.047-460-1760
FAX.047-460-1761