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蓮のQ&ANelumbo Q&A

蓮が咲かない理由

「蓮が咲かないんだけど…」というご相談を頂くことが御座います。

『咲かない』と言うのはかなり漠然とした質問でして…
農業や園芸に詳しい方は口頭でも状態確認が取れ、予想がつくため回答できるのですが…
一般の方はそう簡単には出来ません

そこでリストを作り上から順に、『該当しないなら1つ下へ』と順々に行けば、ある程度は原因がわかるようにさせて頂きました。

0.最低限の条件
1.意外と忘れがち
2.葉の大きさ、背丈は普通なのに咲かない
3.矮小化した
4.順調に育っていたのに、いきなり消えた・枯れた
5.芽が出ない 少し出てすぐダメになった
6.園芸店、ホームセンター、観賞魚店で購入した


0.直射日光が半日以上

最低でも半日以上が必須。
木の影などはダメ。
カーポート下などは直射ではないためダメ。
ビニールハウスは農業用の透明で劣化していない物であれば可能。


0.容器下がアスファルト・コンクリート

真夏に熱を上がりやすく、夜間に熱が下がらないため蓮根に負荷が掛かる。
また、冬季は下から冷えやすく負荷が掛かる。
すのこなどを下に敷くことで解消できる。

アパート、マンションの場合、意外と熱が溜まりにくく、変に下がり過ぎないため問題ない。
(積雪地域や寒冷地は厳しいので注意)


0.鉢同士が近い

・風通しが悪化
  風通しが悪化することで害虫が付きやすくなる。また、病気も起こりやすい。
・日照を妨げる
  成長が早い方が先に葉を上げてしまい、遅い方が陽に当たらなくなってしまう。
  蓮のサイズが大きい方が小さい方の日照を妨げる
・お互いがこすれ合う
  葉、茎が風で動くたびにこすれ合い傷から雑菌や虫が入る。またストレスになる。
  害虫の移動もしやすい
・病気の感染
  病気が起きた際、擦れることで感染が簡単に広まる


0.過密に植え過ぎ

容器に種蓮根を植え過ぎ、植替えをしていないのと同じことになっている。


0.2種以上混ざってしまった

蓮は同じ容器で2種混ざると、強い方が弱い方を駆逐する。
基本的に園芸種は強く、原種系は弱いため注意。


1.同じ土をずっと使用

蓮は同じ土の使用を続けることで『連作障害』が起こる植物である。

1.微量要素の欠乏・過剰
  鉢という閉鎖空間で微量要素が不足している状態
  俗に言う「土が痩せた」状態
2.酸性化
  蓮に害があるほど、酸性に傾き過ぎている状態
3.病害
  雑菌が異常繁殖し、蓮根がやられている状態


1.同じ土をずっと使用 (微量元素の欠乏・過剰)

微量要素とは?
塩素、鉄、ホウ素、マンガン、亜鉛、銅、ニッケル、モリブデンなどのミネラルのことで、これらが不足すると不健康になり、逆に多すぎると毒性を持つ。

欠乏状態
一般化成肥料のみを使用し続けることで起こりやすい。
一般肥料は『肥料の三要素』のみの肥料が一般的。(マグネシウム−Mgを微量に含むものもある)
  窒素−N ・・・ 葉を大きくする
  リン−P ・・・ 花、実に作用する
  カリ−K ・・・ 根の発育に作用する
(マグ−Mg)・・・ 酸性に傾き過ぎた土を中和する目的
この三要素で、なかば強引に成長させる。
昔は化成肥料は微量要素を含むものがなく、化成肥料を用い作物を作ると微量要素が減るため「土が痩せる」と言われる。また、現在も一般的な化成肥料は微量要素が含まれていない物が多い。
微量要素が不足した植物は、雨風に弱い、病害虫に弱い、花付き・実付きが悪い、味が落ちるなどの原因となる。

解決方法 ・・・ 微量要素を添加する。
1.フルボ酸・フミン酸
  微量要素の塊で、非常に効果が高い。(フミン酸は鉱物由来で処理済みの物が必須)
  リンと鉄が結合し難溶態に変化することで植物が吸収できず、土中に残り続ける。
  フルボ酸が分解し鉄と結合し、鉄イオンをキレート化する事で植物に吸収されやすくなる。
2.有機肥料を使用する
  様々な有機肥料をバランスよく用い微量要素を供給する。
  最低でも半年近く土を寝かせる必要があるため、1年分は土が別途必要。
  育成中の施肥は向いていない。(後述)

過剰状態
蓮があまり必要としない微量要素は、吸収されず土の中に残り続ける。その残り続けた微量要素が蓮に害を及ぼすことがある。
一般化成肥料を使用している場合、硫黄以外は過剰状態になる事はまずない。
細かく計算をせず、有機肥料を用いている場合は高確率で起こりうる。

硫黄には要注意!!
窒素は硫酸アンモニウム、カリウムは硫酸カリウムが用いられる事が多い。 水中という嫌気状態に、土づくりに腐葉土を入れると、硫化水素が発生する。
このため硫黄分が過剰供給状態になる。

解決方法 ・・・ 他の植物に吸収させる
1.水草
  「この品種は○○を吸収する」ということまでは不明。
  様々な品種の水草を入れ、出来る限りバランスを取るようにする。
2.休ませる
  土を寝かせる間に色々な雑草に吸収させる。雑草を緑肥にする事も可能。
  その後、消毒し寝かせ、再び使用する。


1.同じ土をずっと使用 (酸性化)

植物は基本的に弱酸性〜中性(pH5〜7)を好む。
雨水、肥料により酸性化してしまう。また、閉鎖空間でアルカリ性の物が入らないことも原因。
水槽、池も生体の排泄物や吐き出した二酸化炭素で酸性化するため定期的に水替え、洗浄を行う必要がある。

5年未満で酸性化が進み過ぎる原因は、腐葉土の使用量によるもの。
腐葉土は必要ではない。

解決方法 ・・・ 苦土で中和
微量に苦土(Mg)が含まれた肥料を用い、先に酸性化を防ぐ。
酸性に傾き過ぎた土は苦土で中和する。2〜3ヶ月は寝かせる必要がある。


1.同じ土をずっと使用 (土壌病害)

雑菌(腐敗病菌)やウィルスに蓮根がやられてしまう状態。
雑菌によるものと、ウィルスによるものは全く別と考える必要がある。

腐敗病菌
土中+水中のバクテリアバランスが崩れたことにより、蓮に対して有益な菌類が減り、有害な菌(腐敗病菌)が勢力を拡大してしまった。人間も表皮常在菌や腸内細菌で同じことが起こる。
バクテリアバランスが崩れる原因として考えられるのは…

外的要因 カラス、野良ネコなどが水浴び、水飲みで運び込んでしまった
台風、強風のゴミも原因となる。
特に台風の塩害はバクテリアのバランスが崩れるので要注意!!
作業をサボった 上記のゴミ、藻の大繁殖(特にアオコ)を駆除しなかった
藻の大繁殖は酸欠とphの変動が起こり、バクテリアのバランスが崩れる
土が悪かった 栄養分の高い黒土、ケト土は管理が非常に難しい。
普通に買っても管理出来ず、雑菌まみれの可能性が高い。
含まれる微量要素で障害が起きた。
有機肥料を使用 有機肥料が腐敗し、その菌が蓮根に悪影響を与えた。
分解過程で酸欠が起こり、土・水・蓮根が死んでしまった。
分解過程で有毒成分が発生し、土・水・蓮根が死んでしまった。
カラス、ネコのエサでもあり、わざわざ雑菌を呼んでしまった。
蓮根の管理ミス 植替え時の蓮根を適切に管理できず、すでに殺菌が纏わりついていた。
乾燥した土 植付け時の土が乾燥していると起こりやすい。
陸上と水中では土壌細菌は異なる場合が多い。
陸生植物には無害でも、蓮には…という可能性もある。
適切に管理されていた新品の焼土はあまり問題ない。
水切れが起きた 雑菌、害虫が入りやすい。
蓮根が容器の側面を這うため、側面に泥もなく無防備になる。 
人害
(あまりない)
人が葉を触ると、植物は火傷をする。
また、切られたり折られた際にそこから雑菌が入ることも。
手を掛け過ぎ
(よくある)
水を頻繁に入れ替えることでバクテリアバランスが崩れる。
夏の水切れ防止に水を足すのは仕方ない。
水を勢いよく泥をまくるように入れるのは絶対ダメ!!
(『セオリー』では酸素供給目的らしい)

解決方法
 上記の事をなるべく気を付ける
+植物自体に微量要素を吸収させ免疫力を持たせる
+バクテリア剤等を用い土中+水中の有益な菌を増加・活性化させる
 キャパシティがあるらしく、有益菌で占めることで有害菌が入れない。
 入っても肩身を狭くさせることが出来る。

ウィルス『ハス条班ウィルスLotus streak virus』
まず、一般家庭ではほぼ起こらない。(※)
アブラムシが媒介しているという。土には潜伏しないらしい(?)
アブラムシが樹液を吸うさいに感染させ、そこから1株全体に広まる。
罹患した蓮根を見つけ次第、そのまま廃棄する以外方法がない。

食用蓮根の産地付近では、農産物に感染を広げないために特に注意!!
農地から逃れたアブラムシが、自宅に隠れ、再び農地へとならないように!!

※一応注意
付近に食用蓮根の産地や、調整池、溜池に蓮が植えてある地域は要注意!!
特に調整池、溜池は「蓮があると奇麗」という程度の感覚で、まともな管理もせず外来種を植えていることが多い。複数種見られるのはこのため。


1.土を寝かし忘れ&手抜き

酸性化した土の中和、苦土消毒、微量要素の添加目的で有機肥料をした場合、適切な管理下で数ヶ月間寝かせる必要がある。

1.苦土中和 アルカリ成分中和(無害化)最低2〜3ヶ月
これをサボるとアルカリ成分で蓮は死んでしまう。
アルカリ成分と有機肥料が反応しガスが発生すると肥効も激減。
特に植付け時、水分が入ることで一気に反応が起こり大量のガスで蓮が死ぬ。

2.有機肥料 発酵・分解・無害化 3〜6ヶ月(時期、方法次第)
『発酵済み』『熟成』と書かれているものも必須。書かれていても実際は中途半端な発酵(熟成)のものもあり、そのまま使うと腐敗するリスクが高い。
未発酵の物は非常に時間が掛かるだけでなく、腐敗のリスクが高い。

有機肥料はバクテリアによって分解されることで、初めて植物が吸収できる状態になる。定期的に撹拌し、酸素を入れバクテリアを育てる必要もある。(温度に注意)
また、分解過程で酸素を大量に使い、分解された各栄養素同士が化学反応を起こし、ガスの発生や、植物に吸収されにくい状態になることもあるため、知識が必要。


1.植え付ける前に、土を水に漬けておく

新しい土を用いる、寝かせた土を用いる場合、土を練る2〜5日前から土を水に浸けるておく。
一般土中と水中ではバクテリアが異なる。
先に水に浸けておくことで、水中では生きられないバクテリア、虫類が死滅し、蓮が雑菌にやられるリスクを抑えることが出来る。

もし、ガスが発生しても先に水に浸けておくことで、蓮根への被害が少なくなる。


1.適度に衝撃を与える(3〜5月)

1.有機肥料を使用
 土中でガスが溜まるため、ガス抜きを行う必要がある。
 硫化水素、メタンガスが主で人体にも猛毒のため故意に吸うのは危険。

2.化成肥料を使用
 硫化水素、メタンガスは、根のカス、腐葉土でも発生するため必要。
 蓮を活性化する効果、土を締める効果もあるため、重要。


1.合う水草、合わない水草

先述の『同じ土をずっと使用(微量元素)』にもあるように微量要素の過剰防止に水草は良い。
水草の状態から、肥料の状態、水のpHを知ることが出来る。
 〜 合う 〜
蓮の成長を妨げず、蓮の立葉からの木漏れ日で成長できる品種。
 〜合わない〜
・根が蓮根に絡み付き植替えが困難になる品種。
・繁殖速度が速すぎ、養分の要求が多すぎ、蓮と奪い合う品種。
・蓮の立葉からの木漏れ日では成長できない品種。また、背丈が高く日照を奪い合う品種。
など

     合う          合わない    
沈水性 イバラモ類全般
エビモ
クロモ
フサモ
ホザキノフサモ
オオカナダモ
コカナダモ
カボンバ
タチモ
浮遊性 マツモ
タヌキモ
ヒンジモ
イギリスマツモ
中南米のマツモ
浮草 アマゾンフロッグピット
イチョウウキゴケ
ウキクサ
ウキバLdw.
サンショウモ
ウォーターファン
オオサンショウモ
ホテイアオイ
浮葉性 Ldw.セディオイデス アサザ
オモダカ
コウホネ
スイレン
ヒシ(全種)
抽水性 全種
湿性 マツバイ系 他全種

ルドウィジアを『Ldw.』と省略。

浮草の項の「ウキクサ」は品種。
アオウキクサ属は在来種は使えるが外来種は害が大きい。

あまり出回ることがない品種が多い。
一般的な観賞魚店では、非常に取扱いに困る品種が多い。


2.つぼみが枯れる

これと言った原因は不明。
1.日照不足
 つぼみが見え始めてから、日照が不足した際に起きやすい。
2.気温変化
 急激に冷え込むなどで起こる。
3.接触によるストレス
 強風などでつぼみがぶつかりストレスで枯れてしまう
4.虫が食べてしまう
 芋虫、毛虫に捕食された。つぼみの中に小さな虫が入り食べられた。
 アブラムシが大量に付着しても起こる。
5.人害
 人に触られた事で皮脂、体温で焼けてしまう。

1〜2は対策はない。
3は蓮の様子をしっかり見ることで駆除可能。
4は注意する以外方法がない。


2.折れる

基本的に蓮が折れることは台風ほどの強風でもない限りほとんどありえない。
(小型容器で細い茎の場合でも、花自体が小型化する)
蓮の葉、花は蓮根の細長い物であり、細い筋の塊でかなりしなりがある。そのため簡単には折れず、折れるというよりも、潰れる・裂ける。その部分から倒れるのが一般的。

避けたような跡あり
1.自分でも認識できる自己
 何かの作業中に接触し折れてしまった
2.野鳥
 カラスが水浴び、サギが魚を捕食など
 推奨サイズ以上で育成すると、中間から根元にかけ凄いトゲが出来る。(めちゃくちゃ痛い)
 こうなると、野鳥も来ない。
3.人害
 心のない人が持って行こうとし、上手く取れなかった

切られている
1.人害
 明らかに刃物で切られた痕跡


2.葉に異変がある

・色が白っぽい・黄色っぽい
 葉が上に伸びている最中に、肥料切れを起こした可能性が高い。
 微量要素の不足もある

・白い斑点
 カビが葉に付着した病気の状態。擦れると感染するので、すぐに刈取り廃棄。
 風通しが悪い。人が触れることでも起こる。

・葉の縁が枯れたようになる
T.その後回復した。(後に出た葉は普通)
  → 水切れが起きた。
U.その後葉が出ない
  → 腐敗病の可能性大


2.実は…容器があっていない

「これが普通のサイズ」と思い込んでいても…
実は、その品種の実際のサイズより遥かに矮小化しているというもの。

『蓮専門店の推奨サイズ』と『一般店(園芸店・ホームセンターなど)の推奨サイズ』はかなりかけ離れていることがある。
 蓮専門店・・・奇麗に咲く・花上りが良くなる
 一般店 ・・・ギリギリ咲くサイズ(小さい方が売れる)
この違いがある。

例として…
『小舞妃』という品種は「椀蓮」として3〜5号ポットで販売されていることがある。
実際は、最低でもφ30cm以上は欲しい品種である。
下は2020年度に比較用に育てた結果。

 φ30cm   φ40cm   φ50cm 
草丈 40〜60cm 80〜120cm 150〜200cm
立葉(φ) 10〜20cm 15〜35cm 20〜65cm
浮葉(φ)  5〜10cm 5〜20cm 10〜20cm
花(φ) 7〜15cm 10〜20cm 15〜25cm
花上り 3〜5 4〜6 〜7(?)
蓮根(長/節) 5〜10cm 10〜20cm
蓮根(φ) 2〜5cm 5〜8cm

(※)は『ミラクルバクテ』と『オーガニックミネラル植物ミネラル土壌改良資材』の施肥量を倍使用した鉢。φ50cm鉢の中型『蜀紅蓮』の草丈、花サイズを超えた。
蓮根はまだ掘り返していないため不明。花上り数は途中で忘れてしまった。


2〜4.枯れたような、枯れてないような… (後に復活)

枯れたような枯れてないような…葉の付け根(茎との接点)が黒い

4月下旬〜6月上旬頃に起こり、その後回復した
T.植替えをしていない
 → 過密によるストレス、酸欠
U.ずっと同じ土を使用
 → 酸性化、微量要素不足
V.植付け株数が多すぎる(推奨容器+1本程度)
 → 過密によるストレス、酸欠
W.有機肥料を使用
 → 肥料切れ、雑菌繁殖(有機肥料は追肥に向いていない)
X.施肥量は少量ずつこまめに行っているか
 → 肥料当り
Y.高配合肥料をしようしている(10-10-10以上)
 → 肥料当り(多すぎる可能性あり)

土壌環境の悪化によるもの。過密も酸欠が起きバクテリアバランスが崩れ土壌環境が悪化する。


2〜4.枯れたような、枯れてないような… (そのまま全滅)

枯れたような枯れてないような…葉の付け根(茎との接点)が黒い。
そのまま半分ほど消えた。または全滅した。
上記の、『後に復活』1〜6の続き(そのまま復活しない可能性もあるため)

Z.有機肥料を使用
 Yes → 気温が上がり硫化水素、メタンガスの発生で蓮根がやられた。

[.良く考えると…(一番多いパターン)
 植付けミス。容器サイズが合っていない。蓮根の管理が悪かった。

・腐敗病
 土を消毒する必要あり
・突然変異
 細胞のクローン生成失敗(コピーエラー)


3&4.二年以上植替えをしていない

過密になり過ぎたことによる肥料の奪い合い、酸欠、容器内でお互いが締め付け合うことによるストレスなどが原因。
植替えを行い適度に間引く必要あり。

花上りを良くしたい、花の色揚りを良くしたい、花を大きくしたい場合、毎年の植替えが有効。
とりあえず、1輪でも咲いてくれれば良いという場合でも2年に一度は必要。


3.容器があっていない

サイズがあっておらず、矮小化してしまった。

『蓮専門店の推奨サイズ』と『一般店(園芸店・ホームセンターなど)の推奨サイズ』はかなりかけ離れていることがある。
 蓮専門店・・・奇麗に咲く・花上りが良くなる
 一般店 ・・・ギリギリ咲くサイズ(小さい方が売れる)
この違いがある。

その品種の推奨サイズをしっかり調べる必要がある。


4.施肥量が多すぎ・高配合過ぎた

肥料当たり。
「蓮は肥料食い」と言われているが、実際肥料が無くても1〜2輪であれば咲く。

「肥料は植物のご飯」ではない!!
実際は「植物のご飯は太陽光」であり、肥料は栄養補助食品に近い。

施肥は「少量ずつを小まめに」行う事が必要。


4.有機肥料を与えている

ガスの発生でやられた可能性が高い。


4.水位を上げ過ぎた

蓮を植付けた直後から梅雨明けまでは、水位を低くしておくと水温が上がりやすくなる。
水温が上がれば成長が進みやすくなる。

初期の頃は蓮は浮葉しか出さない。この時に、浮葉の茎がすべて伸び切った状態よりも高水位(蓮の葉よりも水位が高い状態)まで水位が上がってしまうと、蓮が呼吸が出来ず枯れてしまう。
そのため、大雨による増水や、足し水は注意が必要。


4〜5.植付け後に寒波が来た

植付け・植替え後に急激に冷え込むと、蓮根への負担が非常に大きい。
「蓮の植替えはソメイヨシノが咲く頃」という有名なセオリーがある。
しかし、ソメイヨシノの咲く頃は天候が変わりやすく急激に冷え込むためおすすめしない。

他の植物を目安にせず、蓮の状態を見る方が良い。
目安は、葉の芽が土中から出てきた頃。

植付け後、寒波が来るようであれば水量を増やすことで負担を減らすことが出来る。


4〜5.鉢が縦長(背が高い)

鉢の形が縦長(背が高い)容器は、容器の縁が陽を遮るため、浮葉を出しても葉に日光が当たらずそのまま腐ることが多い。
このような形状の容器の場合は、植付け後『低水位で水温を上げ成長を促進させる』方法は使えない。
立葉が上がるまで、容器の縁めいっぱいの水を入れておくと良い。


4〜5.ひ弱な浮葉を出し、そのまま消える

浮葉が1〜3枚ほど出た後そのまま消える。

・植え付けが遅い
 植付け時期が遅いと起こりやすい。

・水の換えすぎ
 水質が安定せず、バクテリアバランスも崩れる。(腐敗しやすい)

・水を勢いよく入れる
 「酸欠防止で勢いよく水を入れると良い」というセオリーがある。
 春先は蓮根付近の水温が一気に下がるため負担が大きい。
 また、せっかく張った根を、泥を巻き上げることで根が離れてしまう。
 そのまま根付けず、根だけでなく蓮根(地下茎)まで腐ってしまう。

・容器の底に植えた
 地面からの熱を受けやすく、低温・高温にやられてしまった。

・土が少ない
 熱にやられるうえ、日光で根が焼けてしまう。


5.基肥(元肥)を入れている

『基肥(元肥)を入れる』のはセオリーである。

しかし、蓮根は根ではなく地下茎のため、蓮根は直接栄養を吸収できない。
蓮根の節から出る細い根が張ることで、ようやく栄養を吸収することが出来る。
適量の基肥を入れても、蓮は吸収できず藻の栄養になるだけ。

そのため…
1.肥料当りを起こしている
2.藻の発生により酸欠が起きた


5.藻が大量発生

浮葉を出す前に藻が大量発生してしまうと酸欠が起こり、蓮根が死んでしまう。
注意したいのは…

1.糸状藻
  細長い藻。硬い藻ほど駆除しにくい
2.アオコ(グリーンウォーターではない)
  水面に粉上、泡状に繁殖する。乾燥しても生きており空気感染するため駆除しにくい。
  人間も気管支炎を起こすことがある。

これらは酸欠を起こすだけでなく、pHを上げることもあり、浮葉を上げた後でも蓮に負荷が掛かる。
藻類は、動物による持ち込みや、水道水内にも胞子が含まれているため、完全な予防は不可能。


5.まったく該当なし

蓮根そのもの、または、植付け時に蓮根にトラブルがあった可能性が高い。

・植付けまでに日数が開いた
 蓮根に痛みが生じた可能性が高い。
・日光が当たった
 蓮根が焼けてしまった
・蓮根が乾いてしまった
 乾燥により傷んでしまった
・植付け時に折れてしまった
 場所によってはそのまま腐敗してしまう(頂芽、葉芽程度は問題ない)


6.『園芸店、ホームセンター、観賞魚店』の蓮と『専門店』の蓮

実は園芸店、ホームセンター、観賞魚店(以降『一般店』)の商品のほとんどは、蓮の有名専門店から出ている。(最近は「生産者名がない」「まったく無名生産者」の商品も多い)
しかし、一般店と専門店では、商品としては大きく異なる。

一般店 専門店
販売仕方 ・アソート売り
 『品揃え』を魅せるための商品
・品種売り
 その品種を育てたい人向けに販売
販売方法 店頭販売 基本的に通販
(生産者は農家のため)
販売時期 G.W.〜8月 3〜4月(遅くて5月)
商品形体 小型ポット植付け済み
・売り場面積の節約
・腐敗防止(裸蓮根はすぐ腐る)
裸蓮根(重量対策)
・受注後、洗浄し出荷
価格帯 2500〜4000円程度 1200〜10000円(品種による)
品種 良くある普及種
(専門店で1200〜2000円の物)
店舗による
商品の質 専門店注文とは物違う
・矮小株
しっかりと育てれば確実に開花
推奨容器サイズで届く
商品特徴 小型ポット売り
・初心者が手を出しやすい
 実際は植替えるべき
・植付け済みで安く見える
・容器、土は別売り
・意外と初心者向け
 パンフやHPで丁寧な説明あり
 元が良いため丈夫で咲きやすい

「生産者が同じ」「品種名も同じ」という条件でも、販売している商品はまったく別物。


6.生産者は?

大分産(睡蓮有名)、京都産(最大手、水生植物全般)、京都産(山野草有名)の3社が有名。
この3社であれば、生産者から出荷されるまでの『元の状態』は良いはず。
あとは販売店の管理次第(良い店舗を見つけるのが難しい)。

最近は「生産者名がない」「まったく聞いたことのない生産者」の商品も多い。
関東は京都産(最大手、水生植物全般)と生産者表記無が多い。


6.状態が既に悪かった

生産者が良い状態で蓮を出荷しても、小売店が悪化させてしまうことが多い。
そもそもで一般店は…
 ・蓮の管理方法を知らない
 ・蓮に細かく品種があることを知らない
 ・品種ごとに性質が異なることを知らない
ということがかなり多い。
そのため、「購入時には既に状態が悪化していた」ということは普通にある。(既に死んでいる状態でも値札が付いている店舗もある…)
稀にずば抜けて状態が良い店もあるため、そういう店舗を見つける必要がある。


 園芸店
私の行動範囲(千葉中部以西、茨城南部〜中部〜西部、都内23区〜多摩、埼玉北西部以外全域、栃木南部、群馬南東部)では、はあまり置いてある店を見かけない。
水生植物、熱帯植物に強い店でもあまり見かけない。
練馬、三鷹周辺と、茨城と埼玉のどこかでは見たような気も…

 ホームセンター
私の行動範囲では、良い状態で販売されている店舗が少ない。
東関東大手の“黒地に白字の店”の大型店は全体的に状態は良い気がする。数店舗はすごく状態が良い!

 観賞魚店
どちらかというと、専門店にはなく、観賞魚量販店で見かける。
詳細不明な品種が大半。室内+照明なしで置いている場合は論外。


6.植替えをしていない + 購入時期が遅い

植え付けられている容器が小さいため、そのまま育てるには厳しい商品が多い。
そもそも、蓮の品種と容器があっていないため…
 ・植替えなければ育たない
 ・上手く育てても花が咲きにくい
 ・矮小化し本来の姿は見られない(写真と違う)
という商品がほぼ全て。

初心者が植替えるには、G.W.でギリギリ。立葉数本はギリギリ。
6月中旬前後〜。すでに花芽がある頃は難しい。
当然、翌年は一切期待できない。


6.超小型ポットで購入した

3号鉢前後で販売されている物。(生産者不明)

当社の小型品種(一般的には『椀蓮』)の、ハネ(選別落ち)でも3号鉢には絶対に入らない。5号でも1節でギリギリ。
小さい蓮根でも、その年に開花させることは可能ではあるが、花上りが悪く難易度が少し高め。あまりにも小さいと花上りが非常に悪く、難易度が高い。
素人時代も含め、私は購入したことがない。


6.裸蓮根を購入した

(生産者から直接通販で購入した場合を除く。)

野外で裸蓮根そのままやパックに入れた状態で販売。最近見かける商品。(関東だけか?)

店頭で見る限り、かなりの確率で腐っている。
納品された当日に購入し(生産者、流水でしっかりと洗い、農薬で殺菌し、当日に植え付けられれば育てられるかも?

もし「同じ状態で何日管理できるか?」と聞かれた場合…
「1日も持たない」と答える。(乾燥防止、日除けがないため)


6.品種不明

『色と咲き方』『色をイメージしたネーミング』など品種不明な3〜5号鉢が販売されている。
生産者不明。(最大手さんは裏に書いてあった気が…)

品種が特定できない場合、容器推奨サイズ、性質が不明のため、その品種の最適な条件を当てることがかなり難しい。(ようは咲かせにくい)

実生株の可能性もあるため要注意!!
実生株だから名前がないということもありうる。
実生株は超上級者でも、まったく咲かないこともある。(そういう性質の品種が出来る)
生産者側は小型鉢に植えやすく、生産量を増やせるという利点あり。


当社でも『何が届くかはお楽しみ』で販売しているが、品種名を忘れてしまった人から「こんな色で一重(または、八重)が咲いたけど、品種は何ですか?」と聞かれたら…
サイズ等を聞かなくても即座に答えられるような品種を混ぜている。


6.容器が倒れた

小型ポットは意外と泥も少なく軽いため、倒れてしまう事がある。
店頭で、他の人のことを何も考えていない人が倒していることもあるので注意。

泥が流され、泥の重さと蓮根の向き次第では、簡単に蓮根が折れてしまう。(時期、太さによる)
出来る限り慎重に!!


6.容器(ビニールポット)が変形するように持った

片手で容器の縁を掴んだり、上から鷲掴みしたりすると簡単に蓮根が折れてしまう。
5号程度であれば、泥と水が入っていても軽いため片手で持ちたくなるが、縁を持つならば両手で持つ、底部を掌ですくうように持てば、蓮根が折れるほど変形することはない。


6.そのまま育てた

ポット売りは基本的に5号(φ15cm)サイズのため小型品種でもかなり厳しい。
G.W.前に購入できた(立葉が2〜3本程度の)場合は、φ30cm植替えをおすすめする。
花上りが非常に良くなり、花も大きくなる。

それ以降は…
・根と茎が絡まり過ぎており解くことが出来ない
・成長した蓮根が極端に細く折れやすい
・茎が伸びているため植付け(泥を被せる)時に折れやすい
などの理由で、難易度が非常に高くなる。


6.良いものを買うには?

もし、友人に「一般店で買いたい」と相談された場合、
「うちの送ろうか?」「 蓮をやりたいのであれば…初心者こそ専門店で買うべき」「〇〇の××店は状態が良い」というの返答はおいておき…
「下記のことを注意して欲しい」と伝える。

あれば
一般的に売られているのは5号(φ15cm)ポットだが、稀に7号(φ21cm)ポットがあるのでそちらがおすすめ。超小型品種であればそのまま育つ。
植替えをする
植付け済みでも5号は『蓮根が傷まないための仮植え』と考えるべき。
早い時期に購入
出来る限り仕入れた直後を狙って購入するべき。G.W.直前が良い。入荷日を聞き、その日に購入するのが確実。
品種がわかるもの
品種が確実にわかるもの以外購入はおすすめ出来ない。
通路側は避ける
子どもや植物を知らない人(客)が触った商品は基本買ってはいけない。皮脂による焼け、病気が感染しダメになる可能性が高い。触っていなくてもストレスで枯れることが多い。G.W.中は走り回る子どもが多いので特に注意!
立葉はなくて良い
植替えをするのであれば立葉(芽)がない方が植替えをしやすい。
葉は小さくて良い
大きく立派な葉でも、売り場から会計、自宅への運ぶ途中にぶつけて傷みダメになる可能性が非常に高い。通路近くで大きく成長しているものは、触られている可能性も高い。
水草は別店舗で
「ついでに水草も」と考える人が多いが、おすすめできない管理状況が多く、既に腐っていたり、病気・害草を貰うリスクが高い。水草を入れるのであれば、観賞魚店の方が品質が良い。水草の健康状態を目利き出来るのであれば問題ない。俗に言う金魚藻の類は絶対ダメ。
メダカも別店舗
メダカも観賞魚店(できれば専門店)で買のがおすすめ。G.W.前かG.W.を過ぎてしばらくしてからの方が品質が良い。

G.W.前後に販売されはじめるが…
蓮専門店ではすでに販売終了している時期である。

本来、その品種に必要なサイズではないこと。
本来、植替えが終わっている時期であること。


6.ネットオークション・フリマサイト

出品者により、品種に対する認識、入手元などが不明。
また偽物が多い品種が多く出回っているためおすすめ出来ない。
『色と咲き方』『色をイメージしたネーミング』など勝手に名称を付けていることがあり非常に危険。

また『偽物に気を付けて』のページにもあるように『実生株(偽物)』が販売されていることがある。
『大賀蓮』『行田蓮(古代蓮)』『原始蓮』などの古代種は特に、実生株が多い。

価格を上げるために『本性品』と謳う事もあるので要注意。


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