睡蓮が咲かない理由
「睡蓮が咲かないんだけど…」というご相談を頂くことが御座います。
睡蓮は蓮よりも、諸条件が細かく指定されるものが多く、簡単に育てられるようで実際は難しいです。
その諸条件があるため。咲かない原因追求も困難です。
そこでリストを作り上から順に、『該当しないなら1つ下へ』と順々に行けば、ある程度は原因がわかるようにさせて頂きました。
0.最低限の条件
1.意外と忘れがち
2.葉の大きさは普通なのに咲かない
3.矮小化した
4.順調に育っていたのに、いきなり消えた・枯れた
5.芽が出ない 少し出てすぐダメになった
6.園芸店、ホームセンター、観賞魚店で購入した
元々蓮の管理から生産を始め、熱帯種は(個人的には趣味で育成していましが)販売目的で生産を始めたのは、まだ数年のひよっこです。
生産者は勿論のこと、本格的な愛好家の方には到底及びません。
王道のセオリーは諸先輩方のHP、ブログにお任せし…
『失敗体験』を中心に『成功体験』も交え、解説していきます。
〜 場所選び編 〜
・陽当たり
蓮は葉が立ち上がることで、自ら陽当たりを求め成長する。
睡蓮は水面までしか葉を出せない。株元にも陽が当たるようにする。
→ 睡蓮は確実に陽が当たる場所に置く必要がある。
・容器直径
温帯種と違い、容器は最低でもφ50cmは必要。
→ 50cm容器全体に陽が当たる必要がある。
円形という形状は意外と場所を取る。
〜 管理編 〜
・越冬処理
温帯種と異なり冬季は室内に退避させる必要がある。
地域により『退避』の度合いが異なる。
→ 様々な越冬方法がある。
・植付け時期の読み
温帯種とは異なり、温度に非常に敏感なため20℃以上が好ましい。
いきなり寒波が来ると休眠、暖気が来ると活発化することもあるので要注意!!
→ 天気予報の確認、気温系、水温計は必須!
・品種(系統)ごとによる特徴の把握
原種、原種に近い品種はその系統により、最低温度や水質の好みが異なる。
(一般的に普及している熱帯睡蓮は丈夫なため気にしなくてもよい)
水質は非常に厄介で、水道の浄水場が異なるだけで水質は変わる。
アマゾン系は25℃以下で成長が止まり、20℃を下回ると溶け出すなど。
→ テキトーに買うと絶対育たないので要注意!!
〜 状況判断編 〜
・購入(植替え)直後
環境変化で葉を落とし、その環境に適応しようとする。
(初心者はこれをわからず「ダメになった」と廃棄してしまう事がある)
・状態の変化
一度葉を落としたのち、栄養繁殖目的の成長、休眠状態、半休眠状態に陥ることがある。
→ 発芽発根剤、ホルモン剤が必要になる。
睡蓮は大きく分けて
・開花目的の成長
・繁殖目的の成長
・休眠状態
+半休眠状態(寝ぼけた状態)
+長期休眠
の3つの状態に分けることが出来る。(正確な名称ではなく便宜的に仮称)
開花目的の成長
水中で終わってしまう葉が少なく、しっかりとした浮葉何枚も出す。
繁殖目的の成長
小さな成長点(根茎の元)を大量に出し、そこから小さく短い葉を大量に出す。
浮葉が出ても、小さい、1〜3枚と少ない、水中葉に比べ明らかに比率がおかしい。
などの状態。
肥料、天候(日照・気温・水温など)、水質変化などが原因と思われる。
休眠状態
冬季に休眠状態(葉も出さず春を待つ)に入る。休眠期間は基本は半年弱程。
半休眠状態(寝ぼけた状態)
まだ休眠状態から完全に目覚めていない寝ぼけている状態。
温帯睡蓮でもたまに起こる。
T.水中葉のみを出す
U.小さな水中葉だけを定期的に出す
V.小さな水中葉が数枚出て、そのまま成長停止
W.異様に成長が遅い
X.芽を出すが成長しない
経験上2パターンがある(気がする)。
1.TとUの状態から、通常の開花目的の成長、繁殖目的の成長になる事もある。
「T→V→W→X→休眠」もある。確率的には半々?
Uは「U→V→W→X→休眠」になりやすい。
2.V〜Xは「V→W→X→休眠」「W→V→溶ける→X→休眠」「Xを維持」など
長期休眠
2年以上休眠してしまう状態。
「越冬前に寒に当て過ぎた」「(ギガンティア系)容器があっていなかった」などが原因。
「チューバー」「バルブ」「球根」「イモ(観賞魚系)」と呼ばれる。
球根化
形が良く、収穫しやすく、越冬処理もしやすい根茎の状態。形状は品種差、個体差がある。
親株を垂直に植えない方ができやすい気がする。
連結化
根茎が2つ以上繋がって硬化してしまった状態(?)発芽する箇所が複数あり。
成長点が近くに出来るタイプや、親株がまっすぐ立ったまま成長点がすぐわきに出来てしまうと起こりやすい気がする。(アジア系品種はなりやすい?)
ワサビ化
古い茎の中心に新芽が出来るが、さらに下側も古い根の上に新しい根ができ、縦長に根が成長した状態。下部は硬化しているか腐敗している。さらに、腐敗した根の中に赤虫が大量に潜り込み食害が進行する。
大型品種を巨大化させ過ぎた、内鉢が小さい、外鉢が深い、過密に植えた、土が浅い、土が硬いと起こりやすい気がする。
海外に発注した際、葉付きで入ると、起こりやすい気がする(または既になっている)。
矮小株
肥大化する前に越冬処理の時期になってしまった根茎。(ムカゴも同様)
ほぼ根と芽だけであり、根茎に養分を蓄えていない。処理後の越冬中に根茎化することもある。
春に開花が期待できるサイズと、諦める必要があるサイズがある。
ムカゴ
ムカゴ種の根茎。一般的には春まで日の当たる窓際に浮かべておくと良いとされる。
葉を落としたムカゴは2〜3mmでも越冬処理をした方が良い気がする。
最低でも半日以上が必須。
木の影などはダメ。
カーポート下などは直射ではないためダメ。
ビニールハウスは農業用の透明で劣化していない物であれば可能。
蓮と違い、水面までしか葉を出せない。塀や手摺などで日影になってしまうようであれば、鉢の下に頑丈な物を置き高くする必要がある。
温帯睡蓮は暑さに弱いため真夏に弱る。
熱帯種はあまり問題がないが…あまりにも熱いと問題あり。
真夏に熱が上がりやすく、夜間に熱が下がらないため根に負荷が掛かる。
また、冬季は下から冷えやすく負荷が掛かる。
すのこなどを下に敷くことで解消できる。
アパート、マンションの場合、意外と熱が溜まりにくく、変に下がり過ぎないため問題ない。
(積雪地域や寒冷地は厳しいので注意)
睡蓮は洗面器のような形状の容器が良い。
深さよりも口幅が広いものを使用する。
蓮とは異なり立葉がないため、水面域を増やさななければ(大きな容器)葉を効率良く広げられず光合成が出来ない。葉が重なってしまうと下の葉は腐る。上に重なった葉も下側がカビるなど影響がでる。
株元(根茎)に日光が当たるようにする。深さのある容器の場合、内鉢で高さをとる必要がある。
絶対に当てなければならないということではないが、成長が遅い、活性化しないまま終わる、虫食いや腐敗が起こりやすくなる。
一般的に外鉢(容器)の中に、土と根茎を植え付ける内鉢を用いる。
熱帯種は元々大型の品種であり直接植え付けると、100%管理しきれなくなる。
(品種によりφ100cm容器でもギリギリになる)
その品種の本来の良さ(花弁枚数、色、大きさなど)を出すには大きな内鉢(または直植え)、大きな容器が必要になる。
直植えにすると…
・土を使用する量が増える
・容器との高さの調整が難しい
・巨大化する(大型の容器が必要)
その品種本来の本来の大きさになる
・根が自由に成長してしまう
など、一般家庭では確実に手に余るため注意が必要。
温帯種に比べ、内鉢選びは楽になる。
・なるべく深め
10cm前後が好ましい
・なるべく小さめ
10〜15cm前後が好ましい
20cm以上だと大型化し、手に余る
同じ内鉢で2種混ざると、強い方が弱い方を駆逐する。
基本的に園芸種は強く、原種系は弱いため注意。
睡蓮は同じ土の使用を続けることで『連作障害』が起こる植物である。
1.微量要素の欠乏・過剰
鉢という閉鎖空間で微量要素が不足している状態
俗に言う「土が痩せた」状態
2.酸性化
睡蓮に害があるほど、酸性に傾き過ぎている状態
3.病害
雑菌が異常繁殖し、根茎がやられている状態
微量要素とは?
塩素、鉄、ホウ素、マンガン、亜鉛、銅、ニッケル、モリブデンなどのミネラルのことで、これらが不足すると不健康になり、逆に多すぎると毒性を持つ。
欠乏状態
一般化成肥料のみを使用し続けることで起こりやすい。
一般肥料は『肥料の三要素』のみの肥料が一般的。(マグネシウム−Mgを微量に含むものもある)
窒素−N ・・・ 葉を大きくする
リン−P ・・・ 花、実に作用する
カリ−K ・・・ 根の発育に作用する
(マグ−Mg)・・・ 酸性に傾き過ぎた土を中和する目的
この三要素で、なかば強引に成長させる。
昔は化成肥料は微量要素を含むものがなく、化成肥料を用い作物を作ると微量要素が減るため「土が痩せる」と言われる。また、現在も一般的な化成肥料は微量要素が含まれていない物が多い。
微量要素が不足した植物は、雨風に弱い、病害虫に弱い、花付き・実付きが悪い、味が落ちるなどの原因となる。
解決方法 ・・・ 微量要素を添加する。
1.フルボ酸・フミン酸
微量要素の塊で、非常に効果が高い。(フミン酸は鉱物由来で処理済みの物が必須)
リンと鉄が結合し難溶態に変化することで植物が吸収できず、土中に残り続ける。
フルボ酸が分解し鉄と結合し、鉄イオンをキレート化する事で植物に吸収されやすくなる。
2.有機肥料を使用する
様々な有機肥料をバランスよく用い微量要素を供給する。
最低でも半年近く土を寝かせる必要があるため、1年分は土が別途必要。
育成中の施肥は向いていない。(後述)
過剰状態
睡蓮があまり必要としない微量要素は、吸収されず土の中に残り続ける。その残り続けた微量要素が睡蓮に害を及ぼすことがある。
一般化成肥料を使用している場合、硫黄以外は過剰状態になる事はまずない。
細かく計算をせず、有機肥料を用いている場合は高確率で起こりうる。
硫黄には要注意!!
窒素は硫酸アンモニウム、カリウムは硫酸カリウムが用いられる事が多い。 水中という嫌気状態に、土づくりに腐葉土を入れると、硫化水素が発生する。
このため硫黄分が過剰供給状態になる。
解決方法 ・・・ 他の植物に吸収させる
1.水草
「この品種は○○を吸収する」ということまでは不明。
様々な品種の水草を入れ、出来る限りバランスを取るようにする。
2.休ませる
土を寝かせる間に色々な雑草に吸収させる。雑草を緑肥にする事も可能。
その後、消毒し寝かせ、再び使用する。
植物は基本的に弱酸性〜中性(pH5〜7)を好む。
雨水、肥料により酸性化してしまう。また、閉鎖空間でアルカリ性の物が入らないことも原因。
水槽、池も生体の排泄物や吐き出した二酸化炭素で酸性化するため定期的に水替え、洗浄を行う必要がある。
5年未満で酸性化が進み過ぎる原因は、腐葉土の使用量によるもの。
腐葉土は必要ではない。
解決方法 ・・・ 苦土で中和
微量に苦土(Mg)が含まれた肥料を用い、先に酸性化を防ぐ。
酸性に傾き過ぎた土は苦土で中和する。2〜3ヶ月は寝かせる必要がある。
雑菌に睡蓮がやられてしまう状態。
雑菌によるものと、ウィルスによるものは全く別と考える必要がある。
腐敗病菌
土中+水中のバクテリアバランスが崩れたことにより、睡蓮に対して有益な菌類が減り、有害な菌(腐敗病菌)が勢力を拡大してしまった。人間も表皮常在菌や腸内細菌で同じことが起こる。
バクテリアバランスが崩れる原因として考えられるのは…
外的要因 | カラス、野良ネコなどが水浴び、水飲みで運び込んでしまった 台風、強風のゴミも原因となる。 特に台風の塩害はバクテリアのバランスが崩れるので要注意!! |
作業をサボった | 上記のゴミ、藻の大繁殖(特にアオコ)を駆除しなかった 藻の大繁殖は酸欠とphの変動が起こり、バクテリアのバランスが崩れる |
土が悪かった | 栄養分の高い黒土、ケト土は管理が非常に難しい。 普通に買っても管理出来ず、雑菌まみれの可能性が高い。 |
有機肥料を使用 | 有機肥料が腐敗し、その菌が球根に悪影響を与えた。 カラス、ネコのエサでもあり、わざわざ呼んでしまった。 |
根茎の管理ミス | 植替え時の根を適切に管理できず、すでに殺菌が纏わりついていた。 |
乾燥した土 | 植付け時の土が乾燥していると起こりやすい。 陸上と水中では土壌細菌は異なる場合が多い。 陸生植物には無害でも、睡蓮には…という可能性もある。 適切に管理されていた新品の焼土はあまり問題ない。 |
水切れが起きた | 比較的水切れには強い。 完全に根茎が出る程の水切れが起きると、雑菌、害虫が入りやすい。 |
人害 (あまりない) |
人が葉を触ると、植物は火傷をする。 また、切られたり折られた際にそこから雑菌が入ることも。 |
手を掛け過ぎ (よくある) |
水を頻繁に入れ替えることでバクテリアバランスが崩れる。 夏の水切れ防止に水を足すのは仕方ない。 水を勢いよく泥をまくるように入れるのは絶対ダメ!! (『セオリー』では酸素供給目的らしい) |
解決方法
上記の事をなるべく気を付ける
+植物自体に微量要素を吸収させ免疫力を持たせる
+バクテリア剤等を用い土中+水中の有益な菌を増加・活性化させる
キャパシティがあるらしく、有益菌で占めることで有害菌が入れない。
入っても肩身を狭くさせることが出来る。
酸性化した土の中和、苦土消毒、微量要素の添加目的で有機肥料をした場合、適切な管理下で数ヶ月間寝かせる必要がある。
1.苦土中和 アルカリ成分中和(無害化)最低2〜3ヶ月
これをサボるとアルカリ成分で球根は死んでしまう。
アルカリ成分と有機肥料が反応しガスが発生すると肥効も激減。
特に植付け時、水分が入ることで一気に反応が起こり大量のガスで睡蓮が死ぬ。
2.有機肥料 発酵・分解・無害化 3〜6ヶ月(時期、方法次第)
『発酵済み』『熟成』と書かれているものも必須。書かれていても実際は中途半端な発酵(熟成)のものもあり、そのまま使うと腐敗するリスクが高い。
未発酵の物は非常に時間が掛かるだけでなく、腐敗のリスクが高い。
有機肥料はバクテリアによって分解されることで、初めて植物が吸収できる状態になる。定期的に撹拌し、酸素を入れバクテリアを育てる必要もある。(温度に注意)
また、分解された各栄養素同士が化学反応を起こし、ガスの発生や、植物に吸収されにくい状態になることもあるため、知識が必要。
新しい土を用いる、寝かせた土を用いる場合、土を練る2〜5日前から土を水に浸けるておく。
一般土中と水中ではバクテリアが異なる。
先に水に浸けておくことで、水中では生きられないバクテリア、虫類が死滅し、睡蓮が雑菌にやられるリスクを抑えることが出来る。
もし、ガスが発生しても先に水に浸けておくことで、根茎への被害が少なくなる。
特に糸状藻は葉、花に絡まり、開けない状態になってしまう。
このまま放っておくと、ストレスで枯れやすくなる。虫に食われやすくなる。などの害が生じる。
赤虫(ユスリカの幼虫)が根茎を食べてしまう。底床に潜り込むため完全な駆除は難しい。
ボウフラと違い水面まで上がってきての呼吸をしないため、水面付近を泳ぐメダカでは駆除出来ない。
確実に駆除出来るわけではないが、ドジョウは底部を掘り起こしながら虫を食べるが目が悪く効率は微妙なうえ、ヤゴにやられやすい。ゴールデン・バーブ(バルブ)は水面〜底部の虫を食べ、泳ぎが早いため猫や鳥にも狙われにくい。冬季は室内に入れる方が良い。
睡蓮の葉は美味しいのか害虫が付きやすい。
特にアブラムシ、芋虫(毛虫)、ナメクジが食べにくる。
ボウフラ対策でメダカを入れることが多いが、これらはメダカで駆除できない。
先述の『同じ土をずっと使用(微量元素)』にもあるように微量要素の過剰防止に水草は良い。
水草の状態から、肥料の状態、水のpHを知ることが出来る。
〜 合う 〜
睡蓮の葉を広げる水面を奪わない、株元に陽が当たることが大前提。
〜合わない〜
・睡蓮と同じ位置である水面を奪わない品種
・繁殖速度が速すぎ、養分の要求が多すぎ、睡蓮と奪い合う品種
・背丈が高く日照を奪い合う品種
など
合う | 合わない | |
沈水性 | イバラモ類全般 エビモ クロモ フサモ ホザキノフサモ |
オオカナダモ コカナダモ カボンバ タチモ |
浮遊性 | マツモ タヌキモ ヒンジモ |
イギリスマツモ 中南米のマツモ |
浮草 | イチョウウキゴケ ウキクサ サンショウモ |
アマゾンフロッグピット ウォーターファン ウキバLdw. オオサンショウモ ホテイアオイ |
浮葉性 | アサザ オモダカ コウホネ スイレン ヒシ(全種) |
|
抽水性 | 全種 | |
湿性 | 全種 |
浮草の項の「ウキクサ」は品種。
あまり出回ることがない品種が多い。
一般的な観賞魚店では、非常に取扱いに困る品種が多い。
これと言った原因は不明。
1.日照不足
つぼみが見え始めてから、日照が不足した際に起きやすい。
2.気温変化
急激に冷え込むなどで起こる。
3.接触によるストレス
強風などでつぼみがぶつかりストレスで枯れてしまう
4.虫が食べてしまう
芋虫、毛虫に捕食された。つぼみの中に小さな虫が入り食べられた。
アブラムシが大量に付着しても起こる。
5.人害
人に触られた事で皮脂、体温で焼けてしまう。
6.実は『栄養繁殖目的の成長』状態だった
掘り上げ、植直しを行うことで変わる可能性あり。
1〜2は対策はない。
3は鳥除けのテグスなど。
4は注意する以外方法がない。
つぼみがまだ水中にある頃から、外側の額が微妙に開いてしまい(ズレているような感じ)、開花後も歪んだ形になる。
このような症状がほとんど起こらない品種や、高確率で起こる品種など品種による部分も考えられる。
また、その年によってはまったく起こらないこともある。
これと言った原因は不明。
・色が白っぽい・黄色っぽい
葉が上に伸びている最中に、肥料切れを起こした可能性が高い。
微量要素の不足もある
・白い斑点
カビが葉に付着した病気の状態。擦れると感染するので、すぐに刈取り廃棄。
風通しが悪い。人が触れることでも起こる。
・穴が開く
芋虫や、ナメクジによる食害。
・葉が歪な形になる
水中で藻に絡まり成長を阻害された。虫に食われた。
順調に育っていても、花期を迎える頃に天候が合わなかった。
「A種は絶好調、B種はまぁまぁ、C種は全くダメ」というのは普通に起こる。
豊作 | 不作 | |
2018年 | 5月に気温が高く、蓮、温帯・熱帯睡蓮共に一気に成長。 7〜9月は高温+日照で蓮が葉焼け、温帯種が弱る。 11月まで気温が高く、熱帯種は無施肥で中旬まで開花。 |
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蓮、熱帯種全般 | 温帯種全般 | |
2019年 | 4月ハチに刺され温帯種と他植物の親株の大半を失う。 6月は気温が高く、蓮、温帯・熱帯睡蓮共に一気に成長。 7月に気温が下がり、雨天が多く、日照不足で成長・開花が急激に止まる。 7〜8月の雨と台風で塩害が多発。台風15、19号で蓮が全て倒れた。 秋以降も比較的気温が高く、熱帯種は11月中旬まで開花。 |
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蓮、温帯種全般 熱帯(アフリカ系一部、園芸種) |
蓮(種) 熱帯(南米系、アフリカ系) |
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2020年 | 6〜7月は長梅雨の影響で日照不足と低温のため全体的に成長が遅い。 南西からの雷雨で塩害が発生。熱帯種一部が休眠・半休眠状態に。 8月に天候は回復に伴い、蓮、温帯種、熱帯種一部が急成長・開花。 9月中旬に気温が低下し、熱帯種は回復できないまま終了。 |
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蓮(予想)、温帯種全般 熱帯(アジア系、園芸種一部) |
熱帯(南米系、アフリカ系) |
一般向け生産販売を開始した、ここ数年の流れ。
2019年から天候不順で不作が続いた。
2020年は2019年に比べても、球根が小型化し収穫量も低下した。
薄いコーヒーや紅茶のような色をしている。落葉、枯葉などが分解され、タンニンなどの色素で色が付いている『ブラックウォーター』化している。
かなり酸性に傾きやすく、そのまま強酸化してしまうと何も育たなくなってしまう。一般的な温帯睡蓮は少し苦手な印象を受ける。(一部の熱帯品種は好む)
鉄分などが溶出し栄養分は豊富なため、弱酸性状態まで薄め他の植物に撒いても良い。
鯉、金魚、日本淡水魚は苦手な水。南米原産熱帯魚の一部は非常に好む。
貝類は殻が溶けるうえ、寄生虫が好む水質になるため嫌う事が多い。
逆にエビ類はかなり好む。
あまり気にしなくて良い品種もあれば、非常にデリケートな品種もある。
水上葉を出さず水中葉のみなど、いきなり変な葉の出方になることが多い。
特に夜咲き種は他種にくらべ1.2〜1.5倍ほどの肥料を要求する。
施肥は「少量ずつを小まめに」行う事が必要。
過密になり過ぎたことによる肥料の奪い合い、酸欠、容器内でお互いが締め付け合うことによるストレスなどが原因。
球根化した根茎では植え過ぎない限り、まず起こらない。
連結化、ワサビ化してしまった根茎は発芽する箇所が複数出ることがある。
・連結化
根茎の表面が硬化した状態で2株以上がくっついてしまった状態などで起こる。
・ワサビ化
温帯種の根茎のように縦長に成長した状態で冬を越した翌年に起こる。
1つの根茎内に複数の発芽点を持ってしまう事がある。
栄養繁殖目的の成長になっている可能性が高い。
一度、完全に掘り上げ、植直しを行う事で変わることがある。
発芽発根剤、ホルモン剤を使用するのも良い。
肥料当たり。
「肥料は植物のご飯」ではない!!
実際は「植物のご飯は太陽光」であり、肥料は栄養補助食品に近い。
施肥は「少量ずつを小まめに」行う事が必要。
ガスの発生でやられた可能性が高い。
または酸欠。
睡蓮は基本的に浅い水深を好む。
そのため、大雨による増水や、足し水は注意が必要。
熱帯睡蓮は最高気温20℃以上、最低気温15℃以上で植付け始めると良い。
春は暖かい日が続き、急激に寒くなることが多いので特に注意!!
栄養繁殖目的の成長になっている可能性が高い。
半休眠状態の可能性もある。
『基肥(元肥)を入れる』のはセオリーである。
しかし、球根から直接栄養を吸収できない。
数枚葉を出し、安定するために根を張り、そこから出る細いヒゲ根が張ることで、ようやく栄養を吸収することが出来る。
いくら適量の基肥を入れても吸収できず、藻の栄養になるだけ。
そのため…
1.肥料当りを起こしている
2.藻の発生により酸欠が起きた
浮葉を出す前に藻が大量発生してしまうと酸欠が起こり、根茎が死んでしまう。
注意したいのは…
1.糸状藻
細長い藻。硬い藻ほど駆除しにくい
2.アオコ(グリーンウォーターではない)
水面に粉上、泡状に繁殖する。乾燥しても生きており空気感染するため駆除しにくい。
人間も気管支炎を起こすことがある。
これらは酸欠を起こすだけでなく、pHを上げることもあり、浮葉を上げた後でも睡蓮に負荷が掛かる。
藻類は、動物による持ち込みや、水道水内にも胞子が含まれているため、完全な予防は不可能。
実は園芸店、ホームセンター、観賞魚店(以降『一般店』)の商品のほとんどは、蓮の有名専門店から出ている。(熱帯睡蓮は「生産者名がない」「まったく無名生産者」の商品が稀にある)
一般店 | 専門店 | |
販売仕方 | ・アソート売り 『品揃え』を魅せるための商品 |
・品種売り その品種を育てたい人向けに販売 |
販売方法 | 店頭販売 | 基本的に通販 (生産者は農家のため) |
販売時期 | G.W.〜8月 | 5月末〜 |
商品形体 | ・小型ポット植付け済み 売り場面積の節約 |
・裸根茎(重量対策) 受注後、洗浄し出荷 ・内鉢植付け済み |
価格帯 | 2000〜5000円程度 商品による |
2000〜10000円(品種による) |
品種 | 生産者による | 店舗による |
商品の質 | 店舗次第 | 確実な状態 |
商品特徴 | ・小型ポット売り 初心者が手を出しやすい 植付け済みで安く見える |
・外鉢(容器)別売り ・意外と初心者向け パンフやHPで丁寧な説明あり 元が良いため丈夫で咲きやすい |
熱帯睡蓮の場合…
元々かなり特殊な植物のため生産者は極端に少なく、店舗の管理による部分が大きすぎる。
大分産(超有名店)、京都産(最大手、水生植物全般)、三重産(園芸全般、有名作出者在籍+有名作出者独占契約)が卸売では有名。
この3社であれば、生産者から出荷されるまでの『元の状態』は良い。
あとは販売店の管理次第(良い店舗を見つけるのが難しい)。
最近は「生産者名がない」「まったく聞いたことのない生産者」の商品もたまに見かける。
関東は京都産(最大手、水生植物全般)が多い気がする。
一般店(関東)で販売されているサイズは5cm前後角ポットと15cm前後丸ポットが主流。
双方ともφ50cm前後の容器に入れていれば育つ。
5cmポットは植替えが必要。(育てられないこともないが難易度は上がる)
20cmポットはそのまま内鉢として育成可能。
熱帯睡蓮の場合、元々かなり特殊な植物のため生産者は極端に少なく『大分産』『三重産』は超一流生産者であり品質は最高!!
その分、販売店舗の管理による部分が大きい。
稀にずば抜けて状態が良い店もあるため、そういう店舗を見つける必要がある。
園芸店
温帯睡蓮と違い、私の行動範囲(千葉中部以西、茨城南部〜中部〜西部、都内23区〜多摩、埼玉北西部以外全域、栃木南部、群馬南東部)では蓮以上に取り扱う店舗を見ない。
(特に高湿度を好む)熱帯植物に強い店は状態が良い。
ホームセンター
私の行動範囲では、取り扱う店舗が増えている気がする。良い状態で販売されている店舗が少ない。
東関東大手の“黒地に白字の店”の大型店は全体的に状態は良い気がする。数店舗はすごく状態が良い!
観賞魚店
基本的に水草『ニムファ』の名で、産地や水中葉の見た目など独特の名称で呼ばれることが多い。
専門店、本格派愛好家の間では通称『アクアリウムルート』と言われ「稀に当りがあるがほぼ交雑種(偽物)」という微妙な扱い。
大手卸問屋が世界中から仕入れていたが、もう当分は仕入ないとのこと。
『色と咲き方』『色をイメージしたネーミング』など品種不明な2〜5号鉢が稀に販売されていることが稀にある。手を出すべきではない。
出品者の越冬方法、品種に対する認識、入手元などが不明である。
また偽物が多い品種が多く出回っているためおすすめ出来ない。
勝手に名称を付けていることがあり非常に危険。
また、アクアリウムルートの古い品種を増やして販売している人もいる。
ここは必見!!
某ネットオークションには輸入生産販売を行う研究者が出品している。(超有名!!)
上級者以上でなければ維持すら困難な品種が多いが、まだ日本国内に出回っていない激レア種がこの方を通じて最初に広まると言っても過言ではない。
「初心者はお断り」との文言もあるため、ある程度の知識と経験を積んでから。
もし、友人に「一般店で買いたい」と相談された場合…
1.先述の有名生産者であることが大前提
それ以外は危険
2.管理が上手な店舗を探す
上手な店舗であれば晩夏頃のセール品を買っても良い(熱帯普通種のみ)
3.いつ入荷するか聞いておく
出来るなら予約しストックしてもらう
4.入荷日に購入する
店舗はこれが重要!!
5.初めてなら簡単なムカゴ種
オーガスト・コーチ、ティナ、ドーベン、ルビーなど
取り扱い店舗が少ないことから、非常に難しい。
「そこの地域なら〇〇の××店が良い」と指定したくなる。
〒273-0003
千葉県船橋市宮本7-7-1
TEL.047-460-1760
FAX.047-460-1761