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熱帯睡蓮の越冬方法winter

大雪

熱帯睡蓮の越冬

熱帯睡蓮を越冬させるためには、手を加えなければなりません。
色々な方法があるのでご紹介します。
(その品種、個体差、環境により異なります。)


休眠と越冬

熱帯睡蓮は寒さに弱いため、冬季は活動を弱め「休眠状態」をさせる必要があります。
休眠は種を存続させるため、“自分(睡蓮)に適した環境”になるまでの期間です。
あくまでも、“自分に適した環境”かどうかは、その睡蓮(株ごと)によります。同じ親から採れた兄弟株であってもバラバラです。
深い休眠の場合、2〜5年休眠してしまう場合もあるようです。あまりに長いとそのまま死んでしまうこともあります。

品種や地域による部分が大きく、越冬方法、時期にも差があります。
寒波が来ると厳しいですが…園芸品種のオーガストコーチ、ドーベン、ティナなどは耐寒性が高く千葉では屋外でも越冬可能です。 (ムカゴ種は基本的に休眠しにくい)


休眠の入り方

休眠への導入方法です。
1.気温による休眠
  霜に当て休眠させる方法

2.強制休眠T
  葉を全て切り落とし(光合成抑制)し強制的に休眠させる

3.強制休眠U
  水を全て抜き、乾季を再現し休眠させる。

1、2が一般的な休眠方法です。
3をやっているという話はあまり聞きません。


適切な温度

「この品種は〇〇℃」という具体的な数値は出ていません。
どの品種であっても熱帯睡蓮は『熱帯睡蓮』として一括りにまとめられています。
適用温度にも色々な意見があり…
5℃以上、10〜12℃、11〜14℃、15℃(水槽用ヒーターの最低設定)…
かなりの幅があります。

水槽用は基本的に15℃〜の設定のため、15℃以下の水温にするにはサーモスタットを自作する必要があります。(エヴァリスの『EVサーモスタット600-WRV』は6℃〜設定可能)


越冬方法の種類

色々な越冬方法があります。

内鉢ごと 根茎のみ
無加温 T.個装し保温容器(湿)
U.大型容器で水没(湿)
A.フェルト式(湿)
B.泥団子式(湿)
C.脱酸素式(湿)
D.ソイル式(湿)

E.乾燥式
F.フェルト式(乾)
G.ソイル式(乾)
加温 @.内鉢ごと加温(湿) a.ネットに入れ加温(湿)

各方法で「殺菌を行ってから」「殺菌は行わず」の2パターンがあります。
また、これら以外にも色々な方法があるようです。


休眠させない

冬も開花を楽しめる。
何もいじらず内鉢ごと水槽に入れ20〜25℃に加温する。
寒に当てず、彼岸前後には水槽に移した方が良い。
<加温系共通>
水槽用または池用のヒーターが必須となる。水槽はある程度大きく水量が多い方が外部の温度変化に左右されないため、水温を安定させられる。
プラ容器は溶ける可能性が高いため、必ずガラス水槽で行う必要がある。(FRP水槽は可)
温度のムラを作らないために、ポンプかエアレーションで循環させる必要がある。

・屋外 − 日光
水槽上部に覆いを付けハウスのようにする。
材質はポリカーボネートなど太陽光の透過性が高いものが良い。アクリルも良いが反るので注意。
結露で遮光されないように注意。
下部と側面を断熱しないとヒーター代が大変なことになる。

・屋内 − 照明
水槽で育てる睡蓮(ニムファ)と同じこと。
強光量のそれなりの照明が必要で、それなりに金額が掛かる。
寒い部屋の場合は下部、側面に断熱とフタ(覆い)は必須。

・ハウス
ハウスを建て農業用ヒーターで加温する。晴天時は日光、曇り雨の時は農業用照明を用いる。
一番効率が良くランニングコストも下がるが非現実的。(土地もあり、生産者になるならあり。)


T.個装し保温容器

内鉢をビニール袋で個装し、保温容器やハウスに入れ越冬させる。
乾燥を防ぐためしっかりと口を縛ること。
古い土(使用済み未消毒)を使用、覆土が少ないと腐敗しやすい。

・消毒しない
茎を全て落とし、内鉢上部の土を落とす。
新しい土を練り上げておき、根茎がしっかり埋まるよう覆土する。
ビニール袋に入れしっかり閉じ、保温容器やハウスで越冬させる。

・消毒する (後述の『泥団子』とほぼ同じ)
内鉢から根茎を取り出し、茎と根を全て切り落とす。
優しく水洗いをし、球根消毒用薬剤で消毒を行う。
新しい土を練り上げておき、植付けを行った後ビニール袋に入れ、しっかり閉じる。
保温容器やハウスで越冬させる。


U.大型容器で水没

室内で水槽、タライなどの容器に水を張り、内鉢を沈め越冬する方法。
一番普及している方法。品種数、鉢数が少なければ一番楽。
多いと大型容器が必要でかなり邪魔になる。
また、寒冷地、積雪地域ではまったく無意味の可能性がある。


@.内鉢ごと加温

内鉢ごと水槽に入れヒーターで加温する。

・消毒しない
寒に当て、 茎を全て落とし、内鉢上部の土を落とす。
新しい土を練り上げておき、根茎がしっかり埋まるよう覆土する。

・ 消毒する
内鉢から根茎を取り出し、茎と根を全て切り落とす。
優しく水洗いをし、球根消毒用薬剤で消毒を行う。
新しい土を練り上げておき、植付けを行った


A.フェルト式(湿)

近年主流の方法。2〜3年は休眠可能(痩せていくので注意)。

・軽く絞る
茎、根を切り落とし、球根消毒用薬剤に漬ける。
水に濡らし軽く絞ったフェルトに包む。
チャック付き袋に入れ空気を抜き閉める。
保温容器に入れ越冬させる。

・硬く絞る
同じ条件でフェルトを硬く絞る。

・軽く乾燥
球根消毒用薬剤に漬けた後、軽く風に当て乾燥させる。
その後、水に濡らしたフェルトで包む。
根茎の表皮奥に残った雑菌や赤虫を、殺菌殺虫する目的か?
同じく保温容器に入れ越冬させる。


B.泥団子式(湿)

簡単で有名な方法。
欠点としては発芽状態の確認がしにくく、茎を折ってしまう可能性が高い。
また、植付け時に小さな根茎を紛失しやすい(取り忘れ、泥と共に除去)。

茎、根を切り落とし、球根消毒用薬剤に漬ける。
新しい土を練り上げ、根茎を泥で包む。
ビニール袋に入れ、出来る限り空気を抜きしっかり閉じる。
保温容器に入れ越冬させる。


C.脱酸素式(湿)

根茎を水に漬けたままスチールウールや脱酸素剤で酸欠状態にして、根茎をしっかり休眠状態にし腐敗を防止する。(脱酸素剤は物によっては使えないので注意)
スチールウールは水が濁り中の状況が確認できない。酸素が入るため開けられない。
スチールウールの鉄分で植付け時に活性化する可能性がある。

茎、根を切り落とし、球根消毒用薬剤に漬ける。
密閉可能なビンや袋に水を入れ、根茎とスチールウールや脱酸素剤を入れ空気を抜く。
保温容器に入れ越冬させる。

注意!!
完全に嫌気状態でボツリヌス菌がいる可能性が高い。幼児は特に注意!!
袋を開け「腐っていないか臭いで確認」は命の危険がある!!
素手では触らないようにし、根茎もしっかりと水洗いをする。


D.ソイル式(湿)

『泥団子式』と『フェルト』の中間のような感じ。
タッパーなどの容器内で埋め、保温容器に入れ越冬させる。
根茎の状態確認がしやすく、カビた部分は廃棄できる。

・水槽用ソイル
新品のソイルを一度水に浸けておき、ザル等で軽く水分を切った状態が使いやすい。
S〜SSサイズ(小粒〜微粒)の方が良い具合に隙間なくなり埋めやすい。
ふるいに掛けた後のカスでも十分使える。

・バーミキュライト
種まき用など殺菌処理してある物が良い。
屋外に陳列されていたものは加温殺菌した方が良い。

・芝の目土
水槽用ソイルのSSサイズ相当。加温殺菌した方が良い。
簡単につぶれるため、植付け時に潰し練ればそのまま泥になる。


E.乾燥式

乾季を再現した越冬方法。
かなり水分が含まれており乾燥が不十分の場合、結露(湿気)でカビが生える。

・消毒後乾燥
茎、根を切り落とし、球根消毒用薬剤に漬ける。
しっかりと陰干しを行い、ビニール袋に空気を抜き閉じる。

・茎、根付きで乾燥
茎、根が付いているため、乾燥がしっかり早く進む。
土を落とししっかりと水で洗う。(根茎部を球根消毒用薬剤に漬けるのもあり)
茎、根を落とさず、しっかりと陰干しし乾燥させる。
茎、根を落とし、ビニール袋に入れ空気を抜き閉じる。

・そのまま乾燥
乾季をある程度本格的に再現するため、育成容器をそのまま水を抜きく。
ある程度乾燥後、根茎だけでしっかり乾燥させ、袋に入れる。
(内鉢ごと乾燥させ、茎を落として、そのまま袋に入れて保管しても良いかも?)
休眠の具合と植付け後の回復は良い気がする。
粒上の土(水槽のソイルタイプ)は乾燥が早く、効率が良い。雨天、湿気が多いと普通に乾燥させた方が早い。


F.フェルト式(乾)

乾燥式を行った後、乾いたフェルトで包み、保温容器に入れ越冬させる。
袋内で結露(湿気)をフェルトが吸い、カビを防止する。


G.ソイル式(乾)

乾燥式を行った後、なんらかの物に結露(湿気)を吸わせ、カビを防止する。
タッパーなどの容器で、保温容器に入れ越冬させる。
根茎の状態確認がしやすく、カビた部分は廃棄できる。

・水槽用ソイル
S〜SSサイズ(小粒〜微粒)の方が良い具合に隙間なくなり埋めやすい。
ふるいに掛けた後のカスでも十分使える。

・バーミキュライト
種まき用など殺菌処理してある物が良い。
屋外に陳列されていたものは加温殺菌した方が良い。

・芝の目土
水槽用ソイルのSSサイズ相当。加温殺菌した方が良い。
簡単につぶれるため、植付け時に潰し練ればそのまま使える。


a.ネットに入れ加温

茎、根を切り落とし、球根消毒用薬剤に漬ける。
シンクの排水溝ネットや生ごみの水切りネットなどに根茎を入れる。
水槽に入れヒーターで加温する。


例外?

『適切な温度』で「5℃以上」という意見をご紹介しました。
おそらく、品種や個体差にもよると思いますが…

完全に容器が凍り付いてしまうような地域を除き…
5℃以上は意外と簡単に作れます。
浮遊藻類(グリーンウォーター、珪藻類でも可)をびっちり育てた水で、底床に腐葉土を多めに入れしっかりとバクテリアを育てます。
低水温時に浮遊藻類が少し沈殿し、底床上部の保温性が増します。腐葉土があることで底床底部の保温性も増します。さらにバクテリアが沈殿藻類、腐葉土を分解する際にわずかに発熱します。その発熱でさらに微生物が活性化しさらに発熱…を繰り返すため、意外と暖かくなります。
(牛糞、豚糞、鶏糞などの肥料は、微生物の分解と発酵による熱で殺菌、殺虫をしています。)
野生のメダカ、貝類は、落葉や沈殿藻類などと底床の間に潜り越冬します。

注意!!
容器側面や底部が露出していると温度は上がりません。
土に埋めておくと保温性は増します。


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